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先生

厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。これからも暑い日が続くかと思われますが、どうぞご自愛ください。

 

さて先日、岸田首相が製薬業界と意見交換を行った「創薬エコシステムサミット」。この場で首相は 「日本を世界の創薬拠点に」という大目標を掲げました。具体的には、民間投資を2倍にする、価値100億円以上のスタートアップ企業を10社以上実現する、官民連携の協議会を設置する。そして、日本では承認が得られない海外の先進薬(いわゆるドラッグロス)の開発に着手することが挙げられています。すでに四面楚歌のうえに予算も払底しており、あくまで数値目標や予算措置の必要のない枠組みにとどまったあたり、大ぶろしきが逆に痛々しい首相宣言となりました。

 

確かに、日本の製薬業界のシェアは世界的に低下の一途をたどり、コンプライアンス違反や経営悪化に伴う薬剤不足、そして前述のドラッグロスなど、日本の製薬業界にとって何一つ明るい材料はないように思われます。この状況は、日本だけではありません。世界的に進む高齢化や新型コロナウイルスで国庫が疲弊した海外でも製薬・創薬業界の競合はますます厳しくなっています。それでもなお、国内市場に魅力を感じない大手製薬企業は、海外志向を一層強めているのが現状です。

 

では、日本はどうしてこのようになったのでしょうか?大きく分けると、起業と技術育成、開発・承認プロセス、財政および保険制度など、いくつもの領域に分けられます。ただ、日本ではどの領域においても旧制度のつぎはぎ感が否めず、すでに大きく遅れを取っています。現行制度を世界と競合させるためには、大きな改革が早急に必要です。
これは何も製薬業界に限ったことではありません。首相の宣言を見ても分かるとおり、現行制度に逐次手を加える方法では、なかなか難しいというのが私の意見です。

 

次号からは日本の医療制度の根幹をなす製薬業界について、現状の問題点を解説していきたいと思います。

 

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医療法人恭青会

理事長 生野 恭司
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